ごきげんよう、まさきちです。
このブログを書き始めて、昔のことをいろいろ思い出すようになりました。
でも昨夜は何を食べたかすぐに思い出せないときがあるんですけどね。
今回は、もっとほかに良い方法はなかったのかとずっと後悔している話です。
始まりは男子小学生
僕の家の前は、付近の小学校と中学校と高校の通学路になっています。
登校下校時は子供たちの元気な声が聞こえます。
今から10年くらい前、ゲームがきっかけで男子小学生と知り合いました。
ある日、何回かあいさつしたことのある男子小学生二人が、事務所にいる僕を見つけてのぞきに来たのですが、そのときテーブルの上に置いてあるニンテンドーDSをついでに見つけました。
二人の小学生はAくんが6年生、Kくんが4年生でした。
僕は当時『ドラゴンクエストIV』をプレイしていて、昼休みに遊んだあとDSをそのままにしていたようです。
Kくんが「おっちゃん、ゲームすると?」と聞くので、僕が「スーファミとPS2も持っとるよ」と言うと、二人は目をキラキラさせて「わぁ、すごかー!」と言いました。
ちょっと得意になった僕は二人をゲーム機のある居間にあげて自慢してしまったのですが(事務所は自宅に併設しています)、それがきっかけで、二人はゲームをやりにしょっちゅう来るようになりました。
しばらくは二人だけでしたが、すぐに友達を連れて来るようになり、Kくんたちが連れて来た友達の中には、当時小学5年生だった女の子のIちゃんもいました。
3年後、そのIちゃんが僕の家を訪問していたことがPTAで問題になり、結果、悲しい別れをしなければならなくなるとは、そのときは想像もしませんでした。
嫁さん「うちは学童かw」
最初のころは大勢の子供たちが押し寄せてきていたのですが(最大15人)、僕は親でも先生でもない「近所の大人」なので、よそ様のお宅にお邪魔したときの礼儀をいちいちやかましく言っていたら、それをうるさく感じた子はすぐに来なくなりました。
来る者は拒まないけど、来たからにはうちの流儀に従ってもらうというスタンスでした。
僕の家に来ていた男の子の何人かとは今でも付き合いがありますが、「あのころおっちゃんにしつけられたおかげで周りの人に感心されることがあって感謝している」と言われたことが何度かあったので、僕の流儀は間違っていなかったと思っています。
ゲーム大好きKくんは飽きもせずにゲームばかりやっていましたが、ほかの子は学校の宿題をしたり、二階の本棚にある本を読んだり、予備のノートパソコンでネットをしたりするようにもなりました。
帰宅した嫁さんに子供たちの様子を話すと、「うちは学童かw」と半分あきれていましたが、子供たちのためにココアやおやつを買ってきてくれたりしていました。
僕と常連の子供たちは何かトラブルがあるたびに(大体は慣れてくると図々しくなってくる子供らしさが原因)、ルールを追加しながら穏やかに過ごしていました。
Aくんは家庭の事情で、中学校へ進学するときによそへ引っ越していきました。
Iちゃんは勉強が苦手
それから一年後、Iちゃんも中学生になりました。
Iちゃんはクラスで仲の良いMちゃんを連れて来るようになりました。
中学生になると定期試験があり、二人がうちで試験勉強をしていたのは知っていましたが、成績までは関知していませんでした。
あるとき二人の成績を知る機会があったのですが、IちゃんもMちゃんも僕が思っていた以上に良くない成績でした。
Iちゃんの試験結果は平均点よりちょっと下で、Mちゃんは壊滅的な点数です。
まったく勉強していないならともかく、ここで勉強していたのに(いや、Mちゃんはほぼ漫画を読むか、うちの猫と遊んでいただけでした、そう言えば)、この点数はないだろうと思いました。
Iちゃんに勉強方法を聞いたら、教科書の試験範囲をノートに書き写すだけだと言いました。
数学も英語もしっかり理解しないまま試験範囲だけ先に進んでいるので、いくら勉強しても試験問題が解けるわけがありません。
中学1年でこの状況は先が思い遣られると思いましたが、逆に、まだ中学1年なのでこれからいくらでも挽回できるとも思いました。
僕もそれほど頭が良いわけではありませんが、中学1年生に勉強方法を教えるくらいはできます。
「僕流の勉強のやり方を教えるけどやってみる?」と聞くと、二人はうなずきました。
とりあえずやる気があるなら何とかなるだろうと思い、数学と英語を基礎のキから教えることにしました。
Iちゃんは「やればできる子」
Mちゃんはアルファベットの「b」と「d」を迷うレベルだったので、アルファベットの書き取りからやり直しでした。
勉強を教えるとなれば、今までのように子供たちを居間に放置して、僕は事務所で仕事してたまに様子を見に行くというわけにはいきません。
初めの一ヶ月間はなるべく時間を作って、二人につきっきりで教えていました。
すごく簡単な問題を何度も繰り返して解かせて、小さな成功体験を積み重ねることから始めました。
その後、勉強方法を教わってやる気スイッチが入った二人は、僕がいなくてもどんどん勉強するようになりました。
半年が経ったころには、「やればできる子」だったIちゃんは教科書に追いつき、試験でも平均以上の点数が取れるようになっていました。
Mちゃんはちょっとスローペースでしたが、それでも以前に比べればずっとマシな点数を取れるようになっていました。
しかし、もともと勉強嫌いなMちゃんは少しずつサボるようになっていました。
勉強方法は教えているので、あとは本人次第だと思って何も言いませんでした。
良かれと思ったルール変更が
そうこうしているうちにIちゃんとMちゃんは中学2年生に進級し、Kくんは中学1年生に進学しました。
そのころ、僕の家によく来ていたのは、IちゃんとKくんとTくんでした。
TくんはKくんの2歳上のお兄さんで、中学3年生です。
徐々にうちへ来る回数がへっていたMちゃんでしたが、2年生になったらぱったり来なくなりました。
Iちゃんに「Mちゃんは元気?最近見らんけど」と聞いたら、なぜか「知らない(プイッ)」というつれない返事でした。
仲の良い二人でしたが何かあったんだろうなと思って、それ以上、何も聞きませんでした。
僕はKくんが中学生になったのを機に、ゲームだけをやりにうちへ来ることを禁止にしました。
IちゃんとMちゃんの轍(てつ)をKくんには踏ませたくないとの思いからでした。
「ゲームできるのは宿題したあと」「試験期間中はゲーム禁止」というルールを追加したら、KくんTくん兄弟が遊びに来る頻度がぐっとへってしまいました。
Iちゃんだけは以前と同じようにしょっちゅう来ていました。
うるさい男子がいなくなって静かに勉強できるし、おやつの分け前も増えるし、パソコンもすぐ使えるし、Iちゃんにしてみれば快適な環境になったようでした。
PTAの会合で問題に
一学期が始まってしばらくしたころ、事の重大さを自覚しました。
昼間に知り合いのS子さん(嫁さんの元同僚)から電話がありました。
「まさきちさんの家にN中の女の子が遊びにきよる?」と聞くので、僕はのん気に「きよるよ」と答えると、S子さんは緊張した声になって、「やっぱりまさきちさんのことやったったい」と言いました。
そして、S子さんから衝撃的な内容を聞かされました。
S子さんには中学生の息子がいて、Iちゃんと同じ中学校に通っています。
前日、S子さんが中学校のPTAの会合に出席したとき、「女子生徒が車椅子で生活している男性の家に頻繁に出入りしている」が問題として取り上げられたそうです。
その中で語られた特徴から僕のことではないかとS子さんは思い、僕に確認と忠告をするために電話をくれたのでした。
S子さんはすごく気を遣いながら教えてくれましたが、「女子中学生を性的被害から守るには」という内容で議論されたということでした。
S子さんから話を聞いているとき、僕は頭をひどく揺さ振られているような感覚に襲われ、目の前の景色が二重三重になったことを覚えています。
女の子にとって致命的なうわさ
僕はS子さんに今までの経緯と自身の潔白を、精一杯、説明しました。
ひどく動揺していたせいで、この記事に書いているように整然とは説明できませんでしたが。
昔から僕のことを知っているS子さんは理解を示してくれましたが、やはり女子中学生が親族でもない男性の家に毎日のように訪問するのはおかしいとも言いました。
S子さんの言うことはもっともです。
僕はS子さんにお礼を言って電話を切ったあと、Iちゃんにどう伝えようかと悩みました。
性的被害云々は事実無根ですが、Iちゃんが僕の家を訪問しているのは事実です。
誰かにそういう目で見られていたことはもちろんショックですが、僕がまいた種でもあるので、仕方のない部分はあると思います。
しかし、Iちゃんには何の非もありません。
Iちゃんにとって、女の子にとって、致命的なうわさが学校で広まらないように最優先で考えなければいけないと思いました。
「うちにはもう来たらいけん」
その日の放課後、Iちゃんが「こんにちはー!」と元気にあいさつしながら、僕のいる事務所に入ってきました。
いつものように一度帰宅して着替えて、勉強道具だけを持ってきています。
僕はIちゃんの姿を見て、「塾でもなかとけ女子中学生が近所のおじさんの家に当たり前んごと入っていくとはやっぱりおかしかよなぁ」とあらためて思いました。
小学生のときから遊びに来ていて、中学校とIちゃんの自宅の間に僕の家があって、成績を上げるために勉強を教えていただけだったので、今まで違和感を感じたことがありませんでした。
Iちゃんはいつものように、「(居間に)あがっていいですか?」と聞いてきました。
僕は「いや、あがらんで」とぶっきらぼうに言ったあと、すぐに「うちにはもう来たらいけん」と冷たく言い放ちました。
Iちゃんは固い表情になって、「なんで?」と聞いてきましたが、僕は「なんでもよかやろ。うちにはもう来んでね」と、さらにひどい言葉を叩きつけました。
Iちゃんは真っ赤な顔をして、少しの間、下を向いていました。
そして、絞り出したような声で、「わかりました」と言うと、顔を上げないまま事務所から出ていきました。
Iちゃんと嫁さんは仲良し
当初、僕はS子さんから聞いたPTAでの話と、僕の気持ちを正直に話すつもりでした。
Iちゃんがそれで素直に納得して、僕の家に二度と来なければ問題は解決ですが、そんなことでIちゃんは納得しないだろうと思いました。
Iちゃんは僕の嫁さんにも懐いていましたし、嫁さんも気が利いて行儀の良いIちゃんのことをとてもかわいがっていました。
Iちゃんの家庭状況は多少複雑で、シングルマザーの母親は新しくできた彼氏に夢中で、あまりIちゃんをかまっている様子がありませんでした。
家のことを言いたがらないIちゃんの言葉の端々から、彼氏が居候している家にはIちゃんの居場所がなさそうなことを察することができました。
嫁さんとIちゃんの身長がほとんど同じだったので(横幅は違いますが)、嫁さんがもう着なくてIちゃんが着れそうな服をあげたこともあります。
Iちゃんが自分で洗濯するので清潔ではありましたが、いつも同じ服だったことを嫁さんが見かねてのことでした。
週末など嫁さんが家にいるときは一緒に昼ご飯を作って食べたり、近所のスーパーへ買い物に行ったりしていました。
僕たちには子供がいなかったので、「女の子がおったらこんな感じやろな」と嫁さんと話したこともありました。
PTAでは、Iちゃんと僕の関係を問題視されていたので、それだけを理由にして僕の家への出入りを禁止すれば、Iちゃんは「平日には来れなくても嫁さんがいるときなら来ても良いだろう」と判断する恐れがありました。
うわさは広まらずに済んだけど
Iちゃんが僕の家へ来ないようにするには、Iちゃん自身に「二度と来るもんか」と思わせる方法しか考えつきませんでした。
僕はいくら憎まれてもかまわないと覚悟を決めていましたが、意味もわからずいきなりひどい言葉で追い返され、小走りに帰っているIちゃんの背中を見ているときには激しく後悔しました。
もう少し僕が賢明だったら、あるいは嫁さんと相談することができたら、もっと良いやり方があったかも知れません。
帰宅した嫁さんにその日の出来事を話しました。
嫁さんはIちゃんがかわいそうだと大泣きしていましたが、僕が性犯罪者のように扱われたことにも憤(いきどお)っていました。
一ヶ月くらい経ってS子さんに学校で変なうわさが広まっていないかと確認したら、何も話題になっていないと聞いて安心しました。
僕はIちゃんとはそれっきり会っていません。
嫁さんは数年前に、運転中にIちゃんを見かけたそうです。
友達らしい同年代の女の子と一緒だったので声はかけなかったそうですが、背が伸びて髪も長くなって女性らしくなっていて、そして元気そうだったと言っていました。
嫁さんは、僕がIちゃんんのことでしばらく落ち込んでいたので、Iちゃんの話題に触れることをずっと遠慮してくれていました。
嫁さんからIちゃんが元気な様子だったと聞いて、僕は何となく救われた思いがしたことを覚えています。
以上、「女子中学生に勉強を教えていたら性犯罪者扱いされていて驚愕した話」でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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